速度太郎の日記

ことばクリエイター(自称)の松本秀文が作品や雑文を掲載いたします。

宇宙の涯(赤い小屋のある風景

長い手紙を書いていた夏

この世界に存在していないあなたに対して

子供の頃に使っていた鉛筆で文字を綴った

青白い闇の中で蝋燭の貧しさに照らされて

死んだ者たちのことを自分なりに考えている

まだ充分ではない

だから死ぬことを許されていないのだろう

私の文字が奏でる心の傷跡に

誰かが触れることで私が救われることを願う

あなたがかろうじて

このロクデモナイ世界を肯定することができるなら

怪物たちと過ごす夜も苦しいものではない

あらゆる文字はきっと世界の空虚に浸透して

腐った魂の内部で生き延びてゆくだろう

単純な事象

それを愛しているだけでお前は救われるだろう

誰かの膝の上で今まで言えなかったことが

言えた(よーな気がする