速度太郎の日記

ことばクリエイター(自称)の松本秀文が作品や雑文を掲載いたします。

詩人の彼氏 NO MORE POEM

濃厚に接触できない

濃厚なセックスができない

キスもダメだとママンに言われたから

舌を抜くような覚悟で

あたしは決めたんだ

「詩人の恋人を作ろう」

  

人生は出来損ないのバラエティ

バラバラなバラエティ

曖昧でモコモコしていて

ぬいぐるみのクマちゃんは

ペニスのようなものを突き出して

あたしの乳首を覗いている

 

わたがしよりもふわふわして

坂の上にそりゃ雲もあるでしょうよ

家で昔のドラマ「下駄物語」を見て

ざまあみやがれ

あたしの表現には誰も入ることができない

全てをあきらめた人から死んでゆけ 

 

再現される現実があまりに脆いので

あまりに面白い前歯のない現実なので

歯医者は閉店して黒いダンスをして遊ぶ

ここはここではなくてここだから

どこですかここですかあそこですか

唾と汗まみれの性器を眺めながら暮らすぞ

 

価値が変わってしまったので

テレビをつけると昔の人が怒っていた

テレビを消してネット動画を見ると

半分の人はすっぴんで自殺しようとしている

死ぬなよ生きるなよ墓つくるなよ

存在の根元から完全に殺してやるからな

 

詩人の恋人は一切の接触をしない

一切の接触ができない詩人だから安全で

剃刀で切っても血が出るくらいの平凡

文学がイボのように鼻の横についてるぞ

くだらないことばかりやってもうすぐだね

一切のことはすべて許されるようなのであと少し