速度太郎の日記

ことばクリエイター(自称)の松本秀文が作品や雑文を掲載いたします。

2020の詩空

2020年の夜明け

西暦の意味も記号に回収されて

地上から詩がどんどんはなれて

みえなくなる場所まで行ってしまった


猫たちは死後の図書館で

スフィンクスの傍らにすわって

書物たちのささやきをきいている


低所得食堂で小銭を数えながら

生きる意味の無効化を悟り

生き仏の真似をする没落芸人が

ガス自殺をする姿を動画で確認する


空の臍からひものようなものを垂らして

「おぎゃあ」と言う元気もないから

山之口貘の詩を脳に貫通させて

くたびれた排水溝を横切る何かに惚れる