速度太郎の日記

ことばクリエイター(自称)の松本秀文が作品や雑文を掲載いたします。

ソナチネ

人が生きるのも死ぬのも自由だ

ふざけた顔をした魚の死体を見るために

太陽と海しかない場所で

一人相撲を仕掛けた

 

手にした銃はいつだって役立タズ

自分の出生の秘密が明かされる場所

あるいは空を焦がすほどの怒りが

諦念の行間ににじんでゆくのが見えるか

 

まいごたちの群れが青さに消えて

浜辺には血のような思い出が残った

夏は過酷すぎる

 

風だけは嘘をつかないと思っていた

正確に世界を表現するために女を抱く

その吐息を思い出す場所がここではなくても