速度太郎の日記

ことばクリエイター(自称)の松本秀文が作品や雑文を掲載いたします。

触れえぬもの

「生」のすべてを捧げても

触れえぬもの

それを人は探す

湿疹跡の皮膚を眺めて

星の言語を想像して

心と心の交換が不可能と気付く

「答えが欲しいようね」

季節の内部で崩壊した亀を連れて

遊園地で死んだふりをするような生活

そこに「恋」という文字は潜んでいたか

風が吹く

砂の中で

砂を噛んで

明日とは何かを知る

触れえぬものを召喚して

おはぎのような魂を抱く

あんこの中で死んでも構わない

きたない心が世界と同期して

「悔しいだろ」

水を求めて21世紀を跨いで

誰も知らない場所で花のふりをする

おめでとう